戦時中、日本を狙うテロリストとの徹底抗戦を謳う政治結社「日輪の会」の決起集会が開かれた。その会場に爆弾を積んだトラックが突入するテロが発生。主宰の衆議院議員・島田白朗と会場にいた聴衆を守るため、名もなき三人の学生が、トラックを安全なところまで遠ざけ、爆死した。そして終戦を迎え、三人の存在はタブーとなって人の口に上ることはなくなった。
島田白朗から招かれ、三人の学生を讃えるブロンズ像の除幕式に立ち会う新十郎。会場の外には、島田の元ボディーガードだったという山本正信が、島田の不正蓄財を糾弾するため抗議行動を繰り広げていた。
喧噪の中、新十郎の心は晴れない。新十郎は、会場で、島田の息子で俳優の爾朗、そしてブロンズ像の作者である平戸葉子と知り合いになる。
気が付くと、ブロンズ像から血がにじみ出ている。ブロンズ像の中には空洞があり、死体が2つ収められていたのだ。死体はどちらも山本の配下だった男たち。どうして二人はブロンズ像の中に入ったのか。
「面白いことになったようだね」
除幕式の様子をモニターしていた海勝がつぶやく。