第7話 「ハクチユウム」
坂口安吾「明治開化 安吾捕物帖 “愚妖”」「白痴」より
脚本:會川昇 / 絵コンテ:増井壮一 / 演出:清水久敏 / 作画監督:小平佳幸 長谷部敦志
 

 結城新十郎、職業・映画カメラマン。現在彼が撮影している『白痴たち』は、監督の三高吉太郎にやる気がなく、新十郎は自主的にカメラを回し続けている。カメラの先には主演の3人の少女、紗代、寿美恵、素子がいた。物語の舞台は、戦争に巻き込まれた現代の日本。それぞれ別の場所から逃げてきた3人の少女が、一人の男に愛され、半壊した家の押入に住んでいるという設定だ。カメラを回しながら、新十郎の頭の中に声が響く。「謎を解け」。だが、新十郎の目の前には解くべき謎は見つからない。そして映画の撮影は続き、撮影の合間に紗代はつぶやく。「戦争なんて、起こってない。誰も大切な人を亡くしたり、家を焼かれたりしない、悲しい思いなんてしていない……だから映画も撮れるんですよね」。新十郎は3人の映画への思いを大切にしたいと感じていた。そんなある日、三高監督が殺される。監督と最後に会った人物は新十郎。犯人は新十郎なのか。

 
 
 
 
     
     
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